「一帯一路」―国際協力でチャンスを共有

中国交通建設集団有限公司
副総裁 孫 子宇氏講演より

中国交通建設集団(China Communications Construction Company Limited:CCCC)は、1879年に設立された中国国有企業の中でも歴史のある企業です。フォーチュン誌の世界500社(世界企業500社の売上高番付「フォーチュングローバル500」)では第91位(2018年)、世界最大の国際元請け企業250社では第3位にランクインするなど、世界151か国で業務を展開するグローバル企業です。

グループ傘下には、中国港湾エンジニア、上海振華重工などの交通インフラ企業が名を連ねています。グループの基本方針と一帯一路経済圏構想は合致している部分が多いため、さまざまな取り組みを進めています。
一帯一路戦略における5年間の成果を以下に示します。
・工事請負契約額:636億米ドル
・対外直接投資:50億米ドル以上
・進出した海外工業団地:23か所

CCCCは、世界各地の経済発展に特色のある貢献を行っています。CCCCの3つの事業、モンバサ-ナイロビ鉄道、 港珠澳大橋(こうじゅおうたいきょう)、同橋のマカオ港湾管理区がENR(Engineering News-record)の年度世界最高・優秀賞を受賞しています。モンバサ-ナイロビ鉄道については「2018年の年末から黒字化する。公共施設として短期間で利益を出せるのは非常に珍しい」と孫氏は強調します。同社はジャマイカ南北高速道路、カンボジアのプノンペン高速道路、ジプチのソーダ産業工業パーク、エチオピアの建材・インテリア工業団地などにも寄与しています。

また、CCCCは第三の市場でグローバル企業と協力した数多くの経験があります。
一例をあげると、モザンビークのマプト大橋事業、カメルーンのクリビ港コンテナ埠頭(ふとう)事業、バングラデシュのチッタゴン事業等です。

さらにCCCCは日本市場の資源を活かす良好な基盤をもっています。孫氏は「(日本は)東京湾岸を世界でも一流の港湾にした実績や、2020年東京オリンピックに向けたインフラ開発が進行していること等の、先進技術の強みから大変大きなチャンスの時期」と述べ、「しかしオリンピック後、市場は短期的に低迷するだろう。その時期に手を携えて第三の地で開発に取り組みたい」と訴えました。「日本は科学技術の研究投資では依然として売上高に占める割合が高い。日本企業のR & D(Research and Development、研究開発)は国全体の投資の占める割合でも世界トップクラス。日本はイノベーション型の国、中国もそれを目指している。日本の経験から学びたい」と期待を示しました。

1986年5月、CCCCは改革開放政策により東京に中和物産を設立しました。日本での資金調達の基盤、貿易協力の窓口、投資ルート、技術・研修センターと位置づけ、資金統合、資金計画、開発・革新、ワンストップの貿易サービスを目指しています。中和物産は、日本の先進的な製品を一帯一路沿線諸国へ展開しています。

「CCCCには『笑顔でいれば、道はつながる』という理念がある。他人に利益を与えることではじめて自分の利益が得られるという孔子の精神で、一帯一路戦略の参加者、建設者、貢献者として感謝の精神で取り組めば、笑顔を生み、ハード面とソフト面で貢献できる。『国の交わりは民の親しみにあり』と中国ではいわれているが、パートナー企業と協力し合うことによりwin-winの関係を構築し、企業間の戦略、投資、工事、製品・サービス、産業・金融などでパートナーシップを築いていきたい」と孫氏は強い意気込みを語りました。