【コニカミノルタ】ものづくりは人づくり

~意識行動改革を軸とした常にSHINKAし続ける工場経営~

柯尼卡美能达商用科技(東莞)(コニカミノルタ)有限公司
董事総経理
川田 直 氏

会社・工場の概要と経営思想について

柯尼卡美能达商用科技(東莞)(以下、BMDG)は2007年、広州と深セン、香港の中間に位置する東莞市に設立されました。従業員数は2,142名(2019年5月現在)、製品数は約120機種を取り扱っています。主要生産品は、デジタル複合機、消耗品カートリッジ、商業印刷機、医療機器等で、デジタル複合機が売上高比率の44%(2019年度)を占めています。

BMDGでは、「すべての職場が『品質に拘る』『基本に戻る』を指針にした高いオペレーション力を持つ」を目指す姿とし、中国側のマネジメント力を活用して世界最強を目指し、常に進化し続ける工場になることを目標にしています。またBGMGは、現場力=オペレーション力×連携力と定義し、これを基盤とした工場経営を実践し、人財育成と意識改革を全員参加型で進めています。

活動の実施内容

常に進化し続ける工場を目指して、これまでに取り組んできた活動をご紹介します。

(1)意識行動改革・風土作り
意識行動改革は、BMDGの行動指針に沿って取り組み、7つの習慣を教育し展開することによって、個人の成長を促し、主体性の発揮により、コニカミノルタの経営理念である6ValuesOpen and honest, Customer-centric, Innovative, Passionate, Inclusive and collaborative, Accountable)の風土化を図りました。

また、BMDGの強みである「真の連携力」を十分に発揮してもらい、「One for All, All for One」の精神に基づき、仲間意識を持ってコミュニケーションを取りながら、協調性のある職場の雰囲気醸成のため、柔軟性のある働き方改革を追求し、推進しています。

自分の家にいるような風土作りを行い、「安全を最優先に活動、安全は全ての活動の基本」としたスローガンのもと、5つの施策(意識の喚起、知識の教育、行動の徹底、リスクの対策、診断の実施)により安全な生活環境を整えています。さらに、従業員独自運営の基金会を設け、相互支援を促進しています。

そのほか、挨拶活動やバドミントンなどのスポーツ活動を通じて、信頼関係、連携力を高め、「I LOVE BMDG」と感じてもらえるよう取り組んでいます。そして、毎年、従業員幸福度調査を行い、分析することで改善につなげています。

(2)人財育成
階層別人財期待機能をもった人財育成体系図を基本としたスキルマップを導入し、多工程組立人財(多能工)を育成しています。多能工には累計175人(2019年5月現在)が認定されていますが、2020年3月までに同300人を目標にしています。

スキルアップを目指す従業員のモチベーションと技術伝承の蓄積を狙いとした、17種の社内技能資格制度を導入。新人教育には、漫画型教材を取り入れるなど、教材をビジュアル化・ビデオ化しています。また、2018年からはICT・自動化等の急速な技術革新に対応するため、IT・自動化人財を集中的に育成しています。

そのほか、仕事の技能、技術教育だけではなく、個人の能力開発のサポートも行っており、有名大学と連携し企業大学を設立することで、さらに成長したい従業員のために大学生になる夢の実現を支援しています。

(3)高生産性の追求
BMDGでは、止めない、止まらない工場の実現のため、7つのムダを徹底的にゼロ化するNSEP(Non-Stop Eco Production)を推進しています。

また、生産性追求の基本となる徹底的な5Sを実施するため、基準や道具等を明確にした活動を展開しており、全社で定期的にピカピカ活動を実施しています。また、全員参加の金アイデア活動も実施し、2017年にはからくり改善をベースに多くのICT活動事例が生み出され、現場改善力は大きく向上しました。
さらに、デジタルマニュファクチャリングの3つの柱「自動倉庫活用による物流効率の向上」「自動化による生産効率の向上」「ICT化による間接業務効率化の推進」も展開しています。

徹底的なムダ取りへのさらなる挑戦としてTPS活動を導入し、気づき力、マルチスキル、生きる力といった従業員の成長力を後押ししています。BMDGは「一人の百歩より、百人の一歩」が重要だと考え、その実現に向けて作業者自らがムダに気づき、自発的に目標を設定、改善する活動に取り組んでいます。

また、「楽しく仕事ができる真の働き方改革」を促進するため、経営Cockpit構想による間接業務の効率化や経営判断の迅速化も図っています。

(4)品質の作りこみ
「品質に拘る、基本に戻る」をスローガンに、お客様に信頼される製品を提供し続けることを目標とし、品質に注力する生産体制を構築しています。P/U-DOAZ(Parts/Unit Defect On Arrival Zero Forum)活動では取引先様と連携して部品・ユニット着荷“0不良”活動を行っています。工程では、正確性への追求として「7つの正確」活動も導入。さらに、部品や製品を扱う作業者に対する異常検知感性のトレーニングを行うことで、品質問題の早期発見と早期対策を図り、不良の市場流出やロス発生を未然に防ぐ異常検知活動も行っています。

(5)環境保護とCSR
省エネ巡回検査や社内環境保護等の環境保護・改善活動を実施し。また、環境保護の一環として太陽パネルを導入することで年間1,670トンのCO2排出削減。工場内のエリア別消費電力の見える化や環境経営セミナーの開催等、地元政府やお客様等に対するノウハウ提供や環境保護の取組みの拡大にも努めています。

さらに、自社工場の環境負荷低減目標をクリアする上で重要となる、取引先やお客様や現地社会とともに社外活動のCO2排出削減目標を達成するための認定活動「GS(Green Supplier)制度」にも取り組んでいます。

まとめと今後

BMDGは、目指す姿として「世界最強を目指した進化し続ける工場」を掲げるとともに、ものづくりと人づくりを両輪とした、安全で安心して生き生きと働ける職場づくり、風土づくりを経営思想としています。また、意識行動改革を軸とした人の成長を重視し、やらされ感なく個人の成長を促して良い習慣を身につけてもらえるよう、3つの教育施策(TPS活動、働き方改革、7つの習慣教育)を柱とした意識行動面を強化するなど、様々な施策を展開することでBMDG全体の競争力向上に取り組んでいます。

BMDGは2019年、事業を取り巻く環境が大きく変化する中で設立25周年を迎えました。その真価が一層問われることとなる今後も、グループ共通のものさしである生産力診断による現場力(5S見える化やTPS等)の底上げを行い、製造原価や一人当たり売上高などをグループ全体の生産経営指標として生産力を向上させ、「儲かる企業体質」の強化を図っていきます。そして、従業員が安全で生き生きと働くことができる「世界最強を目指した常に進化し続ける工場」の実現に向け、努力して行きます。

また、BMDGは、従業員とともに、コニカミノルタの経営理念である「新しい価値の創造」を実現し、社会から支持され、必要とされる企業を目指し続けてまいります。(終)