開催レポート/JMAマネジメント講演会日本人初の世界7大陸走破 アドベンチャー・ランナーに学ぶ
〜逆境を乗り越える力と挑み続けるモチベーション〜2025年7月9日(水)
2025年7月9日(水)に第3回JMAマネジメント講演会をオンライン開催いたしました。
今回の講演会は、「日本人初の世界7大陸走破 アドベンチャー・ランナーに学ぶ 〜逆境を乗り越える力と挑み続けるモチベーション〜」をテーマに、プロ アドベンチャー・ランナー 北田 雄夫氏をお招きしました。
当日は会員企業174名にお申込みをいただき、講話の後には質疑応答の時間を設け、参加者と活発な意見交換が行われました。
1.アドベンチャーマラソンとは
灼熱の砂漠や極寒の南極、山岳の大自然の中を何百キロ、何千キロと走り、必要な道具や食料を自分一人で運びながらゴールを目指すスポーツ。
地球の果てを走る、世界で最も過酷なマラソン、賞金無し、すべて自己責任。
珍しいカテゴリーであり、難しいこと、悩むこと、葛藤や困難を含め色んな事があったので、その中で自分なりに学んだことをお伝えしたい。
会社やチームから少し遠い環境かもしれませんが、自分に置き換えて創造いただき、少しでもプラスにヒントになるきっかけになってもらえたらと思う。
2.レース体験談
事例1.アメリカ273km(痛かったレース)
レース2日目にマメが両足にでき、大きくならないようあえて皮を切り取ったが、翌日マメは足裏全体に広がってしまう。
痛みが麻痺し、次の日も次の日も麻痺するまで進み、ゴールの事を考えると心が折れそうになるので、今日1日を何とか乗り越えよう、この10分だけ頑張る、目の前にある目標をただただ進み、38時間5分でゴールに辿り着いた。
その時は達成感、爽快感、レースが終わった安堵が大きかったが、今振り返ると危ない判断(ケアや危機管理の甘さ)が反省であり学びであった。
ここで学んだことは、“泥臭く、今日を全力で”今日を乗り越えないと、前には進めない事を味わい学んだ。
事例2.サハラ砂漠1,000km(暑いレース)
レース準備~仮説・実験~
本番は休憩や睡眠時間もタイムに含まれるルールで、気温45℃の生死の危険があるため、安心して基準値を持って対策予防が想定できるよう、事前に2つの人体実験、◎無睡眠トレーニング、◎熱中症トレーニングを行った。
レース中、熱中症にかかったが、翌日から倒れないぞと思い、出来る事を1つ1つ試し、何とか耐えて進むことができた。
レースを続けていくと睡眠不足が続き、夜間はマイナス思考になる反面、ここまで来たからもっとできるだろう、何のためにやってきたんだと問う自分もいて、暑さや痛さより自分と向き合うのが難しかった。自分の根源、やろうとした気持ち、応援してくれる家族やチーム・仲間を思うと諦めず進みたいと、いつも思い出して元気をもらい進んでいく。そして朝日を見るとどれだけ疲れてても前向きな気持ちになり、結果1,000キロを16日45分で完走。
ここで学んだことは、“思った通りにはいかないけど、やった通りにはなる“ハプニング、トラブルを想定して仮設実験したが、その通りにはいかず困難ではあったが、進み続ければ1,000キロに辿り着く、やった通りになると学んだ。
事例3.アラスカ1,600km(寒い話)
レース準備~仮説・実験~
凍傷トレーニング、タイヤ引き(100km)トレーニング、ソリ引き(網走24時間)のトレーニングを行い本番に挑む。
夜は白と黒しかない世界だが、道中オレンジ色に輝く朝日から元気をもらい、極寒の地で挑戦したからこそのご褒美であるオーロラ、途中選手との合流やレース後にホームステイを快く迎え入れてくれ、たくさんの方々に元気をもらい進み続けることができ、28日17時間18分でゴールした。
ここで学んだことは、“一歩踏み出せるなら、もう一歩も踏み出せる”
厳しい時にずっと口ずさみ、どれだけ極限で目の前が真っ暗でも、人間は一歩を踏み出すことができる。
その一歩が踏み出せたら、もう一歩も踏み出せると言い続け、この一歩に全てを注ぎ積み重ね続ける、それが本当に大事だと学んだ。
逆境を乗り越える力と挑み続けるモチベーション
- 確率70%の目標
- 感情を上げ下げしない
- 成功より成長
今日から簡単にできること
“ダメだと思ったら、最後に一歩”
終わり方が大事で、ダメだと思ってからもうひと頑張り出来た自分が積み重なると、習慣になり思考に変わり、難しい時にも頑張れる人間になっていくのかなと思い、日々意識と行動をしている。
参加者との質疑応答、意見交換一部内容
Q:苦境に立ったとき、立場が悪くなったときの気持ちの切り替え方、対処方法などを教えてください。
またそのような状況の人を勇気づける言葉や方法があれば教えてください。
A:苦境に立った時はぼやき猛省し、早急に心をゼロベースにフラットにして、まだ残っているものに目を向ける。
人を勇気づけるには、言葉ではなく、一緒に寄り添うことが一番伝わる。
Q:新しい道を切り開く未知のプロジェクトや新規分野にチャレンジする際、強い意志を持って前に突き進む秘訣やヒントがあれば教えてください。
A:会社の目指すものと、自分が情熱を注げる要素がマッチする捉え方が出来たら良いと思う。
強い意志を持って突き進むには、前進している実感を作り、小さな実感を生むような目に見える形、実感できる形でステップを繋げていくと達成すると思う。
Q:我々ビジネスパーソンは半強制的な仕事があるが、自分の意志や心の持ちようをプラス思考に転換するコツやヒントがあれば教えてください。
A:私は成長することに大きな喜びを感じ、半強制的なことがあった場合、何が学べてどのスキルが伸び、自分の思考を磨けて発見できれば成長のプラスになるので、その情熱や熱意が上がるキーワードが「成長」である。ご質問の方に何かキーワードがあればその捉えをしてみてほしい。
Q:好きがベースにあるから頑張れるのでしょうか、ご紹介いただいたヒント以外でアドバイスがあれば教えてください。
A:先ほどの質問の「成長」が1つ、もう1つは人との関わり、相手に喜んでもらうことがモチベーションアップに繋がる。喜んでもらう方法に目を向けて取り組むと良い方向に進んでいくと思う。
Q:レース前の仮設実験、戦略を立てて本番に挑んでいますが、普段からその取組みは行っているのでしょうか。
A:普段から仮設と実験は常々意識している。
レースは経験値があるのである程度の実体験があるが、違うジャンルの場合は、小さい仮設と実験を繰り返し、進むごとに世界が広がり考えが増し、正解、失敗が見えてくるので、いかに早く回せていけるかを考えている。
最後に北田 雄夫氏より

北田 雄夫 氏
プロ アドベンチャー・ランナー
走ることは人間の突出した能力であり可能性がある。
成長することは楽しいし、素晴らしい未来を目指し、日々頑張っている仲間が沢山いると嬉しい。