開催レポート/会員幹部交流フォーラム2023年度 第5回〜「強くしなやかな会社」「社会に開いた会社」になるために〜2023年12月1日(金)〜2日(土)

良い製品を世に出すためにも利益の出る企業体質に。
国内外問わず理念浸透活動に注力

企業訪問:株式会社安川電機
経営者講話:上席執行役員 林田 歩 氏

最終回となる第5回目のフォーラムは、福岡県北九州市で実施しました。最終回のテーマは「強くしなやかな会社、社会に開いた会社になるために」と題し、企業訪問、そして文化・歴史施設の訪問をしながら、クロージングディスカッションを行いました。

1日目:株式会社安川電機訪問・見学

同社は、1915年の創業以来、「電動機(モータ)とその応用」を事業領域に定め、常に時代の最新技術へチャレンジしてきた会社で、産業用ロボットで有名です。1960年代後半に「メカトロニクス」という概念を世界に先駆けて提唱。世界初に拘った画期的な製品・技術で産業・社会の発展に貢献し、グローバルでその名を轟かせています。
人事担当役員である林田上席執行役員・コーポレートブランディング本部長にお話を伺い、そして同社のテクノロジーセンター、本社ロボット工場、みらい館、歴史館を見学させていただき、同社の過去・現在・未来の経営の姿を学ばせていただきました。

林田氏の講演のポイント

  • 当社は技術立社で、世界初の技術・製品に拘る会社だったので、儲けが得意ではなかった。その反省もあり、利益のでない会社から「利益に拘る会社」に変革を遂げてきた。売上を目標値からはずし、営業利益を第一の目標にしている。良い製品を世に出すためにも、利益の出る企業体質であることが前提であると考える。
  • 「One YASKAWA」の実現に向け、理念浸透活動に注力している。自身や他の役員が講師役となって、海外含め、従業員に理念を伝えている。“家族になろうよ”というメッセージ。また、現場でも「理念教育」を徹底。目的は、①目線を高くした企業理解 ②帰属意義、モチベーション向上 ③業務に対する意識改革・行動変容。加えて、開発機能のバラバラ感を解消するために組織・機能・拠点統合も進めている。
  • 風通しの良い企業を創るには、経営層と現場の意思疎通(対話)が重要だと考える。そのために、“記名式”のES調査を毎月実施し、現場の課題を洗い出す。そして、課題については、発言者と直接対話を行いながら一つずつ解決し、従業員のエンゲージメント向上を図っている。

2日目:北九州の文化・芸術・歴史施設見学、フォーラム全体の振り返り

2日目午前は、リベラルアーツをテーマに、各自で希望する施設を巡り、学びたいこと、感じたいことに各々取り組みました(見学先:TOTOミュージアム、ゼンリンミュージアム、出光美術館、門司港地区、小倉城)。

午後は、「メンバーの自律性をどう引き出すか」というテーマで、人材育成に関する持論の交換を行いました。「仕事の任せ方」「仕事の意義の伝え方」「業務の中での経験値の上げ方」「社員の意志(Will)の引き出し方」など、具体的なエピソードが多数挙げられ、異業種の経営幹部・管理者の交流により多様な経験や持論が集まり、明日へのアイデアが創造されることを体験しました。

そして最後に、本フォーラム全5回のセッションを振り返り、「自身としての気づき」や「今後大切にしていきたいこと、挑戦していきたいこと」について一人ずつ思い思いに宣言し、フォーラムはクロージングを迎えました。

これからの産業社会は、“内から外へ”目を向ける時代と言えます。社内にこもらず、どんどん外に出て多様な人との交わりが新たな価値を生む。立命館アジア太平洋大学の出口学長が「“人・本・旅”で人は育つ」とおっしゃっていますが、まさにそういった時代に入っています。人に会い、本を読み、現場に出かけていく。本フォーラムも「人・本・旅」を形にすることで、JMAの会員企業の皆さん同士が交わり、対話し、アイデアを創造し、共創で社会価値を出していく、そんな姿を事務局としても引き続き促進していければと感じました。今回参加のメンバー同士の今後の交流・対話も続きそうです。