開催レポート/会員幹部交流フォーラム2023年度 第4回〜経営者のリーダーシップ〜2023年11月8日(水)

新規事業は身近な課題を具現化し顧客を巻き込む。
自分でもできると思わせる風土づくりが大切

企業訪問:NECネッツエスアイ株式会社
経営者講話:取締役執行役員常務 兼 CDO 菊池 惣 氏

第4回目のフォーラムは、東京都内で実施しました。今回のテーマは「変革のリーダーシップ」。「日本橋イノベーションベース」を構える「NECネッツエスアイ株式会社」(NESIC)を訪ね、取締役執行役員常務CDO、DXソリューション事業本部長の菊池惣様の講話、および同社の革新的な技術・製品・サービスをオフィス内で見学しました。

菊池取締役常務執行役員との対話

同社は、1953年にNECから「日本電気工事」として分社独立し、通信インフラ構築、システムインテグレーション、コミュニケーション・ソリューション等のビジネスを手掛ける70年の歴史を持つ企業です。その中で菊池氏は、2010年代半ばから、米国シリコンバレーでスタートアップ企業との接点を構築しつつ新規事業開発に携わってきました。その活動の中で、コロナ禍で大活躍、一世を風靡することとなる「Zoom」と出会い、2017年に日本での販売権を獲得しました。
菊池氏は、先見性をもってこの事業を推進しようとしましたが、既存の通信システムとのサービスの重複もあり、社内で強い抵抗に遭ったようです。しかし、多くの人を説得し、会社を動かすことで厳しい状況を突破し、またコロナ禍の影響もあり、Zoomを日本の産業社会の中で定着させることができました。大変強い危機意識とビジョンで人・組織を動かした、まさに「変革のリーダー」の一人です。

菊地氏の持論

●イノベーション・事業創造について

  • “いま自分が課題だと思うこと、ほしいこと”を具現化する思いでスタート。遠い話ではなく身近な課題から。そしてその活動に顧客を巻き込むことで大きなムーブメントに広げていく。
  • Zoomとの出会いで感じた“強い危機感”。他にやられてしまうかもしれない恐怖心。「他にやられるのなら、自分たちでやろう!」。しかし、新しい挑戦には、社内の「カニバリゼーション」があり、強い抵抗に遭った。ただし、「恨まれても、あるべき論で突破!」。
  • 新規事業には、「Openな議論の場」をつくり「自分でもできる」と思わせる風土づくりが大切。手上げ制で「やる気」喚起しよう。

●経営・マネジメント、リーダーシップの持論について

  • 組織はどうしても「個別最適」化してしまうもの。環境変化を先取って自ら変わっていくためには、組織を「全体最適」の意識に変え、相互協力で新たな方向に行かねば変革できない。経営陣の役割の一つである。
  • 全社最適で動くためには、社員個々人の「スキルの可視化」と、プロジェクト毎に必要なスキルの特定が必要となる。これによって人財力の最大活用が可能となる。
  • 新しいことをやるのは面倒で勇気が必要。だから“最初の一歩を踏み出す”のがリーダーの役割、道を創っていこう。

オフィス見学、そして第4回目のセッションの振り返り

NESICでは、顧客提供している各種の技術・製品・サービスを、自社で実際に使って試し、技術者も営業もその良さや課題をよく理解してから商材として扱う文化があります。今回、革新的なオフィス環境を見学させていただき、“オフィスと働き方の未来像”を体感しました。

振り返りセッションでは、菊池常務の実践事例をもとに、「新規事業創造のマネジメント」や「変革のリーダーシップ」の在り方についてあらためて考え、意見交換・共有し、新しいことへの挑戦心やリーダーの気概など、多くの刺激を感じながら終了しました。