開催レポート/会員幹部交流フォーラム2023年度 第2回〜社会・顧客ニーズに適応する/地域とともに成長する〜2023年9月20日(水)〜21日(木)

企業経営は「変化対応力」が重要/地域の成長が会社の成長

企業訪問:ナミックス株式会社
経営者講話:代表取締役社長 小田嶋 壽信 氏

企業訪問:新潟綜合警備保障株式会社
経営者講話:代表取締役社長 廣田 幹人 氏

第2回目のフォーラムは、新潟市内で合宿を行いました。今回のテーマは「社会・顧客ニーズに適応する/地域とともに成長する」として、北陸・新潟で事業を展開する製造業・サービス業の2社を訪ね、地域企業の経営者の考えを聞いたり、地域と歩む企業として行っている社会貢献活動等にフォーカスを当てた意見交換を行いました。

ナミックス株式会社訪問、小田嶋社長との対話とR&Dセンターの見学

JMA会員企業の一つであり、エレクトロケミカル材料分野の独創企業、ナミックス様を訪問しました。1946年の創業以来、社会・産業変化に合わせて製品・技術を確信し、現在ではエレクトロニクス産業に不可欠な材料メーカーとして活躍しています。海外売上比率は80%を超え、ワールドワイドに事業を展開しています。

小田嶋社長の経営持論のポイント

  • 企業経営は「変化対応力」が重要。経済環境、為替、顧客ニーズ、競合…、あらゆる変化に対応し続ける当社は、「自社の強み」「経営理念の浸透」「革新・挑戦マインド」で変化への対応力を磨いている
  • 「幸せを共感・共有できる会社」を創りたい。顧客満足、生き甲斐、豊かさ、笑顔。企業規模ではなく、幸せを追求する
  • 求めるリーダー像:「誰のために、何のために仕事をしているのか、生き方や働くことの意義を啓発できる人」そしてその前に、人として「人間性」(品位、品格、徳)を備えた人に上に立ってほしい
  • 社会貢献は“持ち回り”。業績がいい企業が率先してやればいい。今は自分たちの番と認識し実行している。特に取り組みたいのは「食・農業」。「耕作放棄地、離農、食料自給率」の問題を解決し、地域を活性化したい。

新潟綜合警備保障株式会社・廣田社長の“地域を支えるストーリー”

新潟県全域で警備を軸とした事業を展開する新潟ALSOKは、1969年に現・廣田社長の父が創業しました。まさに地域に根差した総合生活支援企業であり、新潟経済や地域社会の動静に影響される(または影響を与えられる)企業と言えます。
2000年代に、新潟-福岡間の空路の廃止が決まりかけた際、廣田社長は、新潟の地域経済が廃れることを懸念し、様々な地縁・人縁を創り、頼り、動かしながら、航空需要を復活させ、見事廃止撤回を実現しました。そのストーリーを非常に熱く語っていただきました。まさに地域を思い、憂い、行動するリーダーです。

廣田社長の経営持論・リーダー論

  • 「地域の成長が会社の成長」、地域の豊かさが企業の成長エンジンになる。そして、会社は勝手に成長するのではなく、社員の成長が不可欠。だから社員の育成支援は徹底して行う。
  • 自分の役目は、「地域のリーダーを増やすこと」。地域のリーダーが増えれば、社会全体がよくなり、豊かになる。
  • リーダー自らが活性化し、成長しないと組織の発展はない。自分を武者修行の環境に置く(自ら出かけ、話し、繋いでいく)ことが大事。“スパークしあう人”と会って刺激し合っているか。
  • 上司(指導者)は会社の中だけにいるのでなはい。外にもたくさんいる。著名な経営者の本に出会い、経営者の考えに触れることもできる。ただし、読んだ後、どう動くか。私は会いに行き、話を聞き、教えを乞うた。

合宿2日間を振り返って

JMA会員企業2社の訪問、そして、新潟空港ビルディングの見学や新潟の旧所名跡(北方文化博物館・新潟分館、旧齋藤家別邸等)を巡り、新潟という地域の特性や課題感も把握しながら、振り返りのディスカッションを行いました。
今回のテーマに即し、地域社会の中で発展する企業のポイントは以下の3点と整理しました。

  • ①Must+Willの貢献…社会貢献はMustの部分も当然あるが、企業として意志を持った特徴的活動が奏功する
  • ②雇用・人財確保が生命線…人財不足が企業発展の足かせに。それを乗り越える採用力が企業に求められる
  • ③魅力度向上+人財育成が企業の競争力に…企業ブランド向上や発信力で魅力を高めつつ、人材育成を徹底することで自社や地元を大事に思う社員を育て、それが企業の競争力の基盤を形成している

加えて、経営者の「郷土愛・地域愛」、また、経営者・リーダーの「人間力」の大切さを実感した2日間でした。