2019/9/5マネジメント講演会 開催レポートを公開いたしました。
- テーマ
- 【特別講演会】若手社員の『常識力』に満足していますか?
~新聞社の前論説委員が解く”新時代”社員教育のすすめ - 講師
- 澤 圭一郎(さわ けいいちろう)氏
毎日新聞社
毎日教育総合研究所 代表取締役社長 - 日時
- 2019年9月5日(木)15:00~17:00
「若手社員の常識力に満足していますか?」
2019年9月、JMAと毎日教育総合研究所のタイアップ企画として若手社員を中心とした「社員教育」のあり方や考え方を問う特別講演会が開かれた。講師は、毎日新聞東京本社前論説委員で毎日教育総合研究所代表取締役の澤圭一郎が務め、JMAの会員企業などから約30人が出席した。
講演では、JMAが実施した意識調査から「新入社員と接する上司が感じるギャップ」「新入社員と上司がそれぞれ求めるスキル」などを紹介。ギャップについては「仕事に対する意識・考え方」が6割を占め、さらに「常識やモラルの考え方」が半数を占めた。澤氏は「時代が変われば常識の範囲も変わるものだが、仕事上の若手の常識が問題だと感じている状況は好ましくない」と分析。「社会に対する関心の欠如も常識力の足りなさに影響しているのではないか」と説明した。
若手のスキルについて、上司が課題だと考えている点は「主体性や論理的思考力」にあり、上司の想像以上に「失敗を恐れる」点も課題となっていることが浮かんだ。
澤氏は、若手社員が受けてきた教育にも原因の一端があると指摘し、「10年ごとに改定される学習指導要領で育成を目指す力が提示される。若手社員の課題と上司が感じている点は、国も意識しており、2020年度から段階的に導入される指導要領では『知識や技能』『学びに向かう力』『思考力、判断力、表現力』の育成を目指している」と解説した。
その上で「現在の若手に対しての向き合い方」について、自らの取材体験を織り交ぜながら社会常識を身に付けるツールとして新聞を紹介。見出しだけでも毎日目を通せば意識が変わってくること、記事のリード文だけを読むようにして短時間で社会の出来事を俯瞰する方法などを具体的に説明した。
さらに、読み慣れない新聞を手にするハードルが高いことも認識した上で、新聞のガイドブック的な使い方ができる「ニュース時事能力検定」のテキストの有用性を説明した。
実際に導入している企業などの事例も紹介。
- 商談に入る前の雑談ができない社員がいることに危機感を抱いた企業が、テキストと検定受検を義務付けし、自律的に学ぶ習慣を付けさせて成果が上がっているケース
- 市民と接することが必須の警察官を養成する警察学校でも受検を義務付けし、社会に対する関心を高めることに成功
- 社員の常識力に危機感を抱いた社長が、検定料を会社負担で受検を推奨。合格者には報奨金を出している
ーーなどの具体例が示された。
会場からは「会議に席にノンアルコールビールを持ってくる若手がいる」「取引先としっかりした敬語を使ったコミュニケーションができない」などと、自社の実例も紹介された。
澤氏は「市販されている研修で身につく常識には限界がある。その研修を実施しても改善されずに悩んでいる企業は多そうだ。視点を変える必要があるのではないか」と問題を提起し「社会に対する関心が広がると自ずから非常識な態度が減っていくことにつながる」と話した。
参加者からは「世の中に関心をもつきっかけになった」「ニュース検定が役に立つツールと感じた」などと感想が寄せられた。