2018/09/11マネジメント講演会 開催レポートを公開いたしました。
- テーマ
- ボトムアップで進める『働き方改革』とRPAの成功ポイント
~RPA導入懸念を解消する「業務プロセス改革」の勘所~ - 講師
- 久木田 浩一 氏
NTTデータ イントラマート セールス&マーケティング本部 Evangelist - 日時
- 2018年9月11日(火)14:00~17:00
講師として株式会社NTTデータイントラマート セールス&マーケティング本部 Evangelist 久木田 浩一 氏、ゲストスピーカーとして ティアックオンキヨーソリューションズ株式会社 アプリケーションシステム部 副部長 山中 正行 氏をお招きし、【ボトムアップで進める『働き方改革』とRPAの成功ポイント ~RPA導入懸念を解消する「業務プロセス改革」の勘所~】をテーマに講演会を開催いたしました。
働き方改革のための業務プロセス改革を進める上での留意点や、RPAツール導入フェーズ毎の課題、導入後に予想される懸念点などについて、先進的な事例を基にデモを交えてご講演いただきました。
会員企業の皆さまをはじめ、60名以上の方にご参加いただきました。
主な講義内容は以下の通りです。
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の市場が確立し、近年拡大を続けている。業種別では、銀行を皮切りとして各業種でロボットの活用・ロボットとの共存が進行し、業務別では、バックオフィスからフロントオフィスへの導入傾向の変遷が起こっている。
- RPAはデジタルレイバー(都合の良い労働者)として、その圧倒的な労働生産性の高さと、労働時間に縛られないマネジメントのしやすさで、ブームを巻き起こしている。
- 第4次産業革命で注目されているRPAに対して、「なんでもできる」と過信してしまうケースが多いが、あくまでも、RPAは人間の手作業でのルーティンワークを自動効率化するものだと認識する必要がある。
- 一例としてロボットとの共存が実現されている職場環境の事例紹介された。その職場でのロボット導入への最大の懸念点はミスの発生だったが、ミスをしないことが証明されたことで、社員からの信頼を得ることができた。
- RPAの「導入前」「導入直後」「スケール時(利用拡大時)」の各フェーズにはそれぞれ課題が存在する。導入前の課題には、ツール選び・適用領域・導入体制・費用対効果などが考えられる。
- RPAツール選びについては、トライアル段階企業は、情報システム部門が主導のもと、トライアル的にWinActorを利用している割合が高く、反対に本格導入段階企業は、RPA推進部門が主導のもと、BizRobo!を利用している割合が高い。また、先行企業は、複数ツールの併用をしている場合も多いが、重要なのは、自社の導入段階に応じたツール選択することである。
- RPA適用領域については、ルーティンワークへの導入の比率が多くなっているものの、ノウハウが身に付けばどこにでも適用可能である。
- RPA導入体制については、現場と情報システム部門のどちらが主導する体制でも特に問題はない。ポイントは、現場と情報システム部門とのどちらがリスクを負うのかのコンセンサスをとり、責任の範囲を明確化することである。
- RPA導入の費用対効果については、手作業代行分の削減時間が計算しやすく、導入効果の把握が容易であるため、導入メリットは明らかになりやすい。
- 導入直後の課題として、動作・効果不足・ノウハウ蓄積などがあるが、この課題は導入段階が進むに連れて自然解決されることが多い。
- スケール時の課題には、先行導入企業が直面した3つの課題「①ロボ製作効率化の基盤が欲しい」「②ロボと人が連結するハイブリットな基盤が欲しい」「③効率的な管理・監視の基盤が欲しい」について紐解くことが鍵であり、実際のデモンストレーションを交え、シナリオ解説をしていただいた。
- ①ロボ製作効率化の基盤が欲しい:RPAをスケールするとロボシナリオが重複し、ロボ製作に無駄が発生する。これに対しては、RPAの部品化が有効であり、部品同士を連結する技術としてBPMSビジネスプロセスマネジメントシステム)基盤機能の活用がポイントとなる。ロボの起動方法と権限管理や、ロボのエラー回避についても、このBPMS(基盤機能で対処が可能となる。
- ②ロボと人が連結するハイブリットな基盤が欲しい:ロボ化できない人的業務対応・ロボと人を連結した統合的管理については、仕事の流れをBPM(ビジネスプロセス・マネジメント)で制御し、実際の作業をRPAで代行することが有効である。
- ③効率的な管理・監視の基盤が欲しい:解決策としてのパフォーマンスダッシュボードを現在開発中とのこと。
- 続いてゲストスピーカーの山中氏にご登壇頂き、RPA導入実例として、価格条件マスタ登録プロセスにおける「RPA+BPM+承認+基幹システム登録」の自動化の成果や、今後の展開についてご紹介いただいた。RPA導入の成果としては、お客様への価格展開スピードが向上し売上開始の早期化や、それによるお客様満足度の向上、業務全体の手順・進捗・改善ポイントの見える化ができたことである。今後は、全業務の順次BPM化や、ノウハウのお客様提供を検討中とのことであった。
- RPA活用を成功させるために必要なBPMは、ビジネスプロセスの成熟度とITの装備レベルとの相互歩調が重要である。スモールスタートとして、BPMでRPAの前後のプロセスをつなぎ、効果を見ながら順次AI化も進めるといったように、最新技術を随時取り入れながら、BPMを基盤に業務プロセス改革を進めることがポイントである。
- 最後には、間違いのないRPA導入をするためのBPMワークショップのご紹介をいただいた。
その後質疑応答を行い盛況のうちに講演会を終了しました。
参加者からの感想(一部抜粋)
- RPAだけではなく、BPMを含めて作ってゆくこと、流れの中でRPAを使うことでより効率の良い仕事ができるように感じました。
- 単純な作業代行としてのRPAを認識しておりましたので、すべての工程を代行できることが驚きでした。
- RPAを導入するリスク、導入後の課題の説明があり参考になりました。
- 自社でRPAを導入し推進しようと動いておりますが、今回の講演会でRPAの得手、不得手、BPMとの組み合わせをイメージすることができました。
- 具体的な事例を用いて説明いただいたので非常に理解しやすかった。
- 世間では多くの企業でRPAが導入されていますが、実際にどのようなものか知らず、会社業務の一助となればと思い出席させていただきました。単純作業の洗い出しとどのような作業にRPAを考えるのか検討したいと思います。
- トライアルという形でRPA導入をし、現在、全社展開を進めるところで、改めてビジネスプロセスの整理が大事だということを感じました。
- RPAに興味があって話を聞く機会があっても、どうしても製品よりの話が中心になるので、製品以外の話が聴けて良かった。
- 当社も月次業務などでエクセルでの手作業が多く、RPAの導入を検討していたこともあり本日は参加しました。導入にあたり、他社事例もあり、どのようなものが課題となるか理解できました。
以上