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株式会社毎日新聞社

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新聞社ならではのノウハウを社会に還元!
社会人・学生・シニアに向けた新たな取り組みとは?

新聞社の仕事は、新聞を発行することだけだと思っていませんか?
毎日新聞社では新聞記者のノウハウを広く開示し、社会人・学生に向け、そのテクニックを体系化し教育プログラムとして提供しています。また、シニア世代に向けては、「思い出ノート」や「俳句てふてふ」等の日常生活に彩りを加える新たなサービスも提供しています。具体的にどのようなサービスなのかを伺いました。

株式会社 毎日新聞社
ビジネス開発本部
本部長 澤 圭一郎 氏
教育事業室 委員 宮島 友香 氏

ビル前風景

ジャーナリズムを起点に、人々の生活を支援したい

お二人は、ビジネス開発本部にご在籍とのことですが、どのようなお仕事をされていらっしゃいますか?
毎日新聞社は、2022年2月で創刊150年を迎えます。
現存する新聞の中では日本で最も歴史のある新聞社であり、その長い歴史で培ってきたジャーナリズムのノウハウを活かすことで、みなさんの人生や生活のお役に立てるのではないかとの考えから、このビジネス開発本部が生まれました。
当部門では、新聞社ならではの社内のリソースを活用した新規事業の立ち上げを中心に行っています。
私自身は、具体的には、新聞記者が有する表現力や問題発見力が学べる教育プログラムを開発し提供しています。
教育プログラムの他にも、生活の窓口といって、ご高齢の方の生活のご支援、直接のお手伝いができるようなサービスも開発し提供しています。

新聞記者のノウハウを体系化。
社会人・学生に必要な能力が学べる教育プログラム

では、まずは、教育プロラムについて、具体的にはどのようなサービスを提供されているのかお聞かせください?
「記者トレ」という教育プログラムをご提供しています。

記者トレ

「記者トレ」とは?
新聞記者が持つ「取材力」「物事をわかりやすく伝える文章力」「まだ社会で発見されていない問題を見つける提言力」等を体系化した教育プログラムになります。
これは、社会人向けのプログラムになるのでしょうか?
社会人だけでなく、高校生や大学生にもご活用いただいています。
普通の人でも、新聞記者のスキルを身につけることができるのですか?
新聞記者も最初からそのスキルを身につけていたわけではありません。
入社後、全国の支局に配属され、先輩から指導されながら、だんだんとそのスキルを身につけていきます。
「記者トレ」はその記者のノウハウを具体化し、わかりやすくしたもの、ということでしょうか?
はい。ベテランから中堅の記者36名にヒアリングして、そのテクニックを体系化し、わかりやすくまとめています。
東京理科大学の井藤元准教授に監修いただき、開発しました。
記者のテクニックとは具体的にどのようなものでしょうか?
例えば、「伝え方必勝パターン」があります。
これは、プロの記者が記事を書く際にどのようなことを心がけているかを体系的にまとめたものです。
「基本姿勢」「取材時の心構え」「原稿執筆の心構え」の3つのカテゴリーに分かれており、全45項目で構成されています。
一例を挙げると、「原稿執筆の心構え」では、「一文を短くする」があります。
文章を簡潔に短くした方が、相手に伝わりやすくなります。

社会人との記者トレ風景

なるほど。
確かにそうですね。
新聞記者は経験を積むことで、「このように書くと、わかりやすく伝えることができる」と学んでいくのですが、「記者トレ」では、そのノウハウを短時間で習得することができます。
社会人になって、「文章を書くこと」を訓練する機会は非常に少ないですよね。
多くの人は、感覚的に仕事の書類を作成していると思います。
文章を書くのが苦手な方は、社会人でもたくさんいらっしゃると思います。
しかし、ちょっとしたテクニックを知ることで上達できます。
苦手に思っていても、書けるようになっていくと楽しいものです。
自分の考えを言葉で伝えて、相手が共感してくれると、すごく嬉しいじゃないですか?
そうですね。
自分の意見を言うのが苦手だと感じている人は多いのではないでしょうか?
新聞記者のテクニックを活用していただいて、自分の考えを伝えることに慣れていく、そんな土壌が作れたらいいなと思っています。
今は、SNSやブログで個人の発信力が以前より強まっています。
文章を上手に書けるかどうかが重要な時代だと思います。
奈良県の県立高校で「記者トレ」を活用していただいているのですが、まさに授業を受けた生徒さんから、そのような反響をいただきました。
「SNSの文章をしっかりと考えるようになった」と言っていただいたんです。
とても嬉しかったですね。

香芝高校での記者トレ風景

文章を考えるというのは、相手の立場に立って考えるということですよね?
そうですね。
一方的に発信するのではなくて、受け手のことを想像して書くことが大事です。「
記者トレ」では、「読む人の立場になる」と伝えています。
新入社員に文章を書かせると、全然意味が通じないということがあります。
「文章力」は思考するための根幹なので、非常に大事ですよね。
おっしゃる通りです。
現在、探求学習(自ら学び自ら考える力を育てる学習のこと)に注目が集まっています。
探求するためには、自分で問いを立て、その考えをきちんと伝えることが、まずは必要です。
どうすれば「記者トレ」を学ぶことができますか?
3つの方法があります。
一つは企業研修で、集合研修になります。
もう一つが、オンライン講座になります。
動画を視聴していただいて、テキストに沿って勉強していただきます。
最後が、高校や大学に提供しているテキストと解説動画がセットになった形式です。

「たのシニア」で、シニア層の生活に彩を添えたい

シニアの記者トレ風景

「記者トレ」以外にも、生活に潤いや楽しさをお持ちいただくコンテンツがあります。
それが「思い出ノート」と「俳句てふてふ」です。
「思い出ノート」とは?
「シニアの豊かな社会を作り出す」をモットーに、弊社では「たのシニア 生活彩り倶楽部」というシニア事業をおこなっています。
その一つが「思い出ノート」です。
事前に用意された100の質問に回答していくことで、自分の人生のこれまでの軌跡、つまり「自分史」を書き上げることができます。

思い出ノート

半生を振り返ることができるわけですね。
自分の人生を捉えなおす楽しさがあるのですが、同時に、認知症予防や健康寿命の効果も期待されています。
自身の過去を振り返る・文章にまとめることが認知症予防になるわけですね。
「思い出ノート」は、公益社団法人「認知症予防財団」と協力して開発した毎日新聞独自の健康促進ツールで、おかげさまで多くの方にご好評をいただいています。
「思い出ノート」は、どこで購入することができますか?
サイトで販売をしていますし、全国の毎日新聞販売店さんにお問い合わせいただければ、そちらからもご購入いただけます。
では、「俳句てふてふ」とはどんなものですか?

思い出ノート

「俳句をもっと身近に」というコンセプトのスマートフォン用のアプリになります。
俳句を投稿することができて、コメントで交流したり、先生に講評してもらったりすることができます。
個人の方が、アプリで俳句を投稿するわけですね。
どなたでも簡単に投稿できるため、会員数がとても増えています。
個人が楽しむだけでなく、選者を務めていただいている俳人、坪内稔典先生からは「小学校などに配備されているタブレットを使えば俳句の授業ができそう」との感想をいただいています。
「俳句てふてふ」も、文章力の鍛錬になりますね。
そうですね。
「記者トレ」もそうですが、唯一の正しい答え、というものはありません。
自由な発想が求められます。
その点は、今の教育に必要なところではないでしょうか。
これからの社会では「答えをどのように導くのか」という発想が求められていくのではないかと思います。

紙媒体だけでなく、新たなサービスで皆様のお役に

「記者トレ」「思い出ノート」「俳句てふてふ」は、とても面白いサービスだと思うのですが、どのように生まれたのですか?
全て、社員自ら「挑戦してみたい、やってみたい」と考えた企画が新たな事業につながっています。
新しいことに挑戦するのに寛容な会社なのですか?
そうですね。
「チャレンジしましょう」という社風だと思います。
では最後に今後の目標をおきかせください。
ソーシャル・ネットワーキング・サービスをはじめ、新たなメディアが誕生しています。
私たちは、紙媒体だけではなく、デジタルを活用した発信もしています。
「紙」「デジタル」の両輪でジャーナリズムの役割を果たし、さらに我々が手がけている企画が、皆さまの生活や仕事のお役に立てれば嬉しいです。
ご紹介した「記者トレ」や「思い出ノート」は始まったばかりですので、まだまだご存じない方がいらっしゃいます。
たくさんの方に知っていただく機会を作るのが直近の目標になります。
この事業をさらに拡大して、たくさんの方に利用していただきたいですね。
私自身、良いものをご提供できているという自負があります。
文章を書いたり、考えや思いを伝えたりすることは、すごく楽しいということを知ってもらいたいです。

150年の歴史を持ち、ともすれば固い社風を想像する新聞社が、柔軟な考えのもと歴史とともに培ってきたノウハウを社会に還元する、また、個々の顧客と作り上げた関係をさらに強め、シニアライフに色を添えるサービスを提供するなど、その興味深い取り組みに感銘を受けました。
今回ご紹介いただいた「記者トレ」は、小会の法人会員向けの新サービスとしてご協力いただけることとなました。ご興味をお持ちの方は、毎日新聞社にお問い合わせいただくか、小会会員向けホームページをご覧ください。